紆余曲折カラーウルトロン

Sony α700 + Voigtländer Color-Ultron 50mm F1.8 (M42)

去年の11月に入手したこのレンズ、紆余曲折あって先日やっと最初の撮影をしました。
以下、長くてちょっとマニアックな話になりますが、お時間があればどうぞ…

フォクトレンダーのカラーウルトロンというレンズを知ったのは、αにアダプタ経由でM42レンズを付けて遊び始めた２年ほど前に見つけたこのブログ記事でした。

腐っても鯛なカラーウルトロン

でもなかなか物が見つかりません。それが去年の秋になって急にeBayで複数出品されて、ちょっと高めでしたが（それでも日本で買うよりだいぶ安い）なんとか落札することができました。ところが。

荷物を届けに来た郵便局の人が悪いニュースも運んできました。なんでも出品者の国内（ギリシャ）で国際郵便の荷物が荒らされて、私の荷物も箱が開けられて中身が出ていたとのこと。保険付き郵便で損害賠償ができるので、何か破損があれば連絡するということになりました。

箱を開けてみると、どう見ても詰め物が足りなくてスカスカでレンズキャップが割れていましたが、とりあえずレンズは無事…と一安心したのも束の間、ベッサフレックスに付けて絞りの動作などを見ていると、最初は動いていた絞りが全く変化しなくなってしまいました。詰め物の少なさから見るとたぶん箱の中でかなりシェイクされたと思われるので、その衝撃で絞り機構がおかしくなってしまったようです。

というわけで早速郵便局に連絡して損害賠償の手続き。特に難しい事はなく、書類にサインして商品の金額がわかるものを送るだけ（私はeBayの請求ページを印刷）で、書類の作成はお任せです。2週間ちょっとで保険が下りることが確定し、1〜2週間で郵便局の払い出しの用紙が送られてくるとのこと。これでやっと一安心、保険金がきたら修理にでも出そうと思っていたら…今度は郵便局の払い出しの用紙が一向に届きません。1〜2週間のはずが、なんと2ヶ月もたってやっと届きました。年末が重なったとはいえ（といっても保険がおりることになったのは11月頭）ひどすぎです。地元郵便局は仕事が速くて素晴らしかったのに…

まあとにかく、紆余曲折の末これでやっと一件落着しましたが、これだけ色々あると修理に出すモチベーションが下がります。もうジャンクで売っちゃおうかとも思いましたが、もしかしたら絞りのリンケージが外れちゃってるだけで少しの分解で直るかもと思い、駄目もとで分解してみることにしました。

とりあえずフランジ面のネジから外して行きます。レンズ本体の中心、黒い帯状部分の上に見えるのが、カメラ側から絞りを動かすためのピン。左側に見えるのは絞り値をカメラに伝える機構です（同じフォクトレンダーのVSL-1というカメラでしか使えませんが）。

次に一階層下にあるネジを外すと、シルバーの部分ががばっと外れます。絞りリング用のベアリングが飛んでいきそうになってビビります。色々な物の位置関係がわからなくならないように写真を撮影。

上の写真ではボケてしまってますが、シルバーのリング状部品の内側、絞り込みピンを押し込むと小さなアームが横方向に動くようになっていて、これが本体側のレバーを動かして絞り込むことはわかりました。しかし他の部分がどう絡んで動くのかがさっぱり分かりません。

30分以上あちらこちらを動かしたり観察したりして一度仮り組みしてみると、ピンに連動して絞りは動作するようになりましたがどうも絞り量が少ない。またベアリングを飛ばしそうになりながら分解して観察していると、どうやら無限遠と開放絞りの位置を記録したつもりの写真が、すでに間違った位置に合わせて撮っていたらしいことがわかりました。なにしろシルバーのリング状部品を外すといろんな所が動き出してしまい、勘違いしてしまったようです。さらに各部をああでもないこうでもないと動かしているうちに徐々にすべてがちゃんとうまくはまる位置がわかってきて、最後には無事組み上がりました。（ふう）

ほんの2回ネジを外しただけでこの調子ですから、もうジャンクでない限り分解はやめておこう、と心に誓いました（笑）

これで約3ヶ月越しでやっとテスト撮影、とりあえずデジタルで…と思ったら（またか）このレンズ、マウントアダプタでαに付けようとしても何かと干渉して取り付けられないのです（泣）他のレンズではこんな事は皆無なのですが、どうもマウントにねじ込むためのネジ山の幅が微妙に広いらしく、これがカメラの絞り込みレバーと干渉してしまう模様。仕方がないので、手持ちのいちばん短いエクステンションチューブ経由で撮影したのが冒頭の写真です。ということで、αでは引きの絵が全く撮れません。

どこまでも紆余曲折なレンズなのでした。